プミラの素顔
先日、お客様の現地調査に
お伺いした際、
目を見張るお宅を見つけました。
大寒の頃、青々と茂るつる植物。
2階建ての建物の屋根までよじ登り、
本体を覆い尽くす姿は、
なかなかのインパクトがあります。
この植物は「オオイタビ」。
学名はフィカス・プミラ
(Ficus pumila)です。
そう、このプミラ。
寄せ植えによく使われている、
可愛らしいつる植物です。
葉の大きさやテクスチャーが、
よく見かけるプミラと
全然違うのもまた驚き。
小さな苗の時は
葉の面に凹凸があり、
サイズも小ぶりですが、
成木になると
葉はつるりとして分厚い。
この成木の葉の質感、
確かに観葉植物の
フィカスたちに似ている‥
ここまで大きく育つのに
一体どれほどの時間帯を要したのか。
実まで実らせています。
初めは1株か、
数株の小さな苗だった
プミラの現在の根元の姿がこちら。
ものすごい太さの幹です。
競争相手の少ない
(野生の環境と違い、
人間に守られている)、
登りやすい壁面さえあれば、
ここまで育ってしまうプミラよ。
むしろ、この成木の逞しさからは
想像もつかない、
小さな苗の愛らしさを見出し、
世に出したかつての生産者さん、
グッジョブ。
一方こちらは、
弊社事務所そばに聳え立つ
マンションのエントランスです。
マンションの設計をされた方が、
竣工後、数十年を経て
このようなエントランス外観になることを
想定していたかどうかはわかりませんが、
とにかくもう、圧巻の、プミラ。
こちらのマンションは
手入れが行き届いてており、
プミラが整然と
壁面を覆っています。
そもそも、
苗売り場に並んでいるプミラを
見ただけでは、
プミラがまさか気根を壁に吸着させ、
ものすごい勢いで
繁茂する植物だとは
思いもしないでしょう。
「気根」はプミラの茎から
空中に伸びた根です。
プミラのひょろひょろとした
茎を支えるため、
気根を空中に伸ばし、
身近にある壁面に吸着します。
気根が建物の外壁や
構造物に吸着すると、
もう容易には
剥ぎ取ることができません。
剥ぎ取ることができたとしても、
気根の跡が壁面に残ります。
高圧洗浄機を用いても
限界があり、
壁の表面を気根ごと
「削り取る」以外、
今のところ対処法はありません。
アイビーやハツユキカズラも
プミラ同様、気根を出して
壁面に吸着するタイプの植物。
用い方、管理の仕方によっては、
古いブロック塀や
無機質な都会の風景を
省スペースで美しく
緑化することができます。
建物のそばに
地植えして放置し、
あわやプミラに
家を乗っ取られそうになるのも、
はたまたこまめに手入れして
美しい緑の壁面を生み出すのも、
私たちの植物との
付き合い方次第。
そして今日も
プミラは陽の光と雨を浴び、
着々と生息域を広げています…
千葉県 柏市
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鳥飼 寛子